認知症の治療
早期に治療を開始するほど効果があり、脳のリハビリも合わせて行うことが推奨されています。
認知症の治療法については様々な形で研究が進められていますが、現時点では根本的に治す治療薬はありません。そのため、進行を緩やかにする薬物療法が治療の中心です。
記憶障害や見当識障害といった中核症状の進行を緩やかにする治療薬を使って、極力進行を抑える治療が施されるのが一般的です。早い段階で治療を始めるほど、進行を緩やかにする効果がより期待できるため、早期発見・早期治療開始が何よりも重要なのです。
現在、アルツハイマー型認知症の治療薬として使用が可能な薬は計4種類(うち1種類はレビー小体型認知症にも使用可能)です。
このうち、3種類は「コリンエステラーゼ阻害薬」と呼ばれるタイプで、神経細胞の連携に欠かせない「アセチルコリン」という物質の減少を阻止してくれる薬剤です。
残る1種類はNMDA受容体拮抗薬と呼ばれるタイプで、神経細胞が持つ「NMDA受容体」が過剰に活性化して神経障害を加速させるのを防ぐ働きがあります。症状の進み具合などに応じて必要な薬が判断されます。
最近では投薬に加え、絵画・音楽療法、運動療法などの脳のリハビリテーションが合わせて行われることもあります。これは脳に残された機能を高めるのが狙いです。義務的にやるというのではなく、本人が楽しみつつ、多くの人とコミュニケーションをとれることがポイントです。
アルツハイマー型認知症で使用可能な治療薬
分類 | 一般名(商品名) | 効能・特徴 |
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コリンエステラーゼ阻害薬 | ドネペジル(アリセプト) |
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ガランタミン(レミニール) |
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リバスチグミン(リバスタッチバッチなど) |
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NMDA受容体拮抗薬 | メマンチン(メマリー) |
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監修:新井平伊医師(アルツクリニック 東京院長)