認知症って何?
認知症は病気が原因で脳機能が低下し、日常生活が正常に送れなくなる状態です。
「高度」の状態まで進行すると日常生活のほとんどで介護が必要に
「認知症」というのは病名ではありません。脳にまつわるさまざまな病気が原因となって脳の機能が低下した状態(症状)を指す言葉です。
たとえば、この原因の病気としてよく知られているアルツハイマー病、この病気が原因の場合は、アルツハイマー型認知症と呼ばれます。ほかに、脳梗塞などの脳血管障害が引き金となって発症する血管性認知症、レビー小体と呼ばれる特殊なたんぱく質が原因となって発症するレビー小体型認知症などが知られています。
症状としては、少し前の出来事をすっかり忘れてしまう記憶障害がもっともよくみられるものですが、それ以外にも簡単な計算ができなくなる、日付や時間がわからなくなる、仕事や家事などの段取りができなくなるといった症状もよくみられます。
またそれ以外にも、抑うつや不安、いらいら、幻視、妄想といった、行動心理症状(BPSD)と呼ばれる症状を呈するケースもあるようです。
ちなみに、認知症は一般には高齢になってから発症するケースがほとんどですが、まれに30代などで発症するケース(若年性認知症)もあることも知っておいてください。
これらの症状は比較的軽い状態から時間をかけてゆっくりと進行していき、症状が進行するほど、日常生活の多くの場面で介護が必要な状態となってきます。残念ながら現在のところ、認知症を完全に治す治療法はありません。しかし、適切な治療や生活習慣の改善などにより進行を遅らせることができる可能性もあるのです。
認知症を発症した本人だけでなく、家族など周囲の人も認知症について知識を持って、変化に敏感になることが大切です。
監修:新井平伊医師(アルツクリニック 東京院長)