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認知症予防コラム

認知症予防習慣 運動習慣

2021年01月13日

最低限のラインから

運動については、年齢や体力によって紹介できる内容が大きく変わります。

厚生労働省の調べでは、現在日本の30代~50代において、運動の習慣があるのはわずか20%程度です。習慣にすることの難しさが表れている数値ですが、最初から習慣にしようと意気込まず、まず体を動かすことを意識することから始めてみましょう。推奨されている最低限のラインをクリアすることを最初の目標としてはいかがでしょうか。

●1日30分、週3日の有酸素運動

最も軽い有酸素運動はウォーキングです。30分で3,000歩相当とし、10分を3回でも構いません。大股で、早く歩くことを意識しましょう。

●大きな筋肉の筋トレ

体の中で一番大きな筋肉は太ももの筋肉です。一番大きな筋肉を鍛えて効率よくトレーニングしましょう。太ももを鍛えるにはスクワットがおすすめです。


有酸素運動と筋トレにはそれぞれ違った効果があります。両方を組み合わせることで高い効果が期待できますので、いずれか取り組みやすい方から始めてみましょう。慣れてくるとステップアップしたくなるでしょうから、そのタイミングで体力に合わせて強度をつけたり、種目を増やしたりしてみましょう。最終的に両方取り組めることが望ましいです。

運動習慣の認知症予防への効果

脳血流が良くなることで、認知機能がアップ

  思考や判断、行動を司る前頭葉の働きが改善され、認知機能を向上させます。

脳内で情報伝達をするシナプスの機能が向上

  BDNF(脳由来神経栄養因子)、IGF-1(インスリン様成長因子)、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)が増加し、シナプス機能を向上させます。

海馬が大きくなり、記憶力が向上

  有酸素運動を1年間継続することで、記憶を司る海馬の容積が2%増加したと報告されています。

ミクログリアの増殖で脳環境が良好に

  脳を修復する免疫細胞であるミクログリアが増えることで、脳環境を良好な状態に維持します。

神経伝達物質の増加で脳が活性化

  エンドルフィン、ドーパミン、セロトニン、NGF(脳神経成長因子)が増え、脳が活性化されます。


運動によって脳内では様々な変化が起こり、総体的に認知機能が向上することがわかっています。運動習慣のある人は、認知症を発症しにくいことからも、運動が認知症予防において非常に効果的な取り組みであることがわかります。

認知症を予防する習慣の一つとして、運動を日常生活に取り入れることをおすすめします。

参考文献:

・公益財団法人長寿科学振興財団「認知症の予防とケア」第4章 認知症の予防 運動の視点から
島田 裕之(国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 部長)