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認知症予防コラム

40歳からの認知症予防(第3話)運動の習慣づくり

2020年09月21日

第1話.40歳が良いタイミング
第2話.生活習慣の改善   
第3話.運動の習慣づくり  
第4話.精神的安定     
第5話.趣味、社会的交流  

2.運動の習慣づくり

運動をすることで体にどのような変化が起こり、認知症予防につながっている岡をお話します。

現在の中年期は運動不足

1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している運動習慣のある40代の割合は男性18.3%、女性14.7%、その割合が低いことから運動不足社会であることがうかがえます。(厚生労働省が実施した国民健康・栄養調査(平成30年)による)

一方で、高血圧性疾患、糖尿病、肥満、脂質異常症、動脈硬化性疾患、骨粗しょう症、うつ病、認知症など、多くの疾患において運動が有効であるとされています。運動は健康な生活を送る基本であり、多くの病気の予防策に位置づけられていますので、意識的に取り組んだ方が良いことは明白です。
これからの健康のために、運動をすることでどんなことが改善されるのでしょうか・・・それを知ることで、意識して運動に時間をさけるようになるかもしれません。

運動によって体内で何が起こるの?

運動によって増える体内の生理活性物質

種類物質名作用
ホルモン副腎皮質刺激ホルモンストレス緩和
成長ホルモン身長を伸ばす
テストステロン記憶力の改善
エンドルフィン快感を感じる
神経伝達物質アセチルコリン海馬での神経細胞新生促進、記憶力の改善
ドーパミン意欲の改善
遊離型トリプトファンセロトニンの増加、抑うつ症状改善
神経栄養因子BDNF海馬での神経細胞新生促進
酵素AMPキナーゼ血糖の低下
KATキヌレニン分解
生理活性物質t-PA血栓の溶解
血管新生因子VEGFなど血管を新生するはたらき
・神経細胞や血管が新たに作られる

認知症に関連する作用では、海馬で神経細胞の新生を促すアセチルコリンとBDNF、血管新生因子です。
運動をすると、アセチルコリンという神経伝達物質が増え、記憶を司る海馬で神経細胞の新生が促されます。これが記憶力、認知力の改善につながります。BDNFも運動によって分泌される物質で、海馬で神経細胞の新生や成長、維持、再生を促進し、記憶能力の向上に効果を発揮します。
また、血管新生因子が脳内で増加するので、血流が改善され、蓄積されたアミロイドβが減少し始めるのです。

・気分が高揚する

運動はまた、生きる意欲や生きる喜びを向上させるドーパミンという脳内物質も増やします。トリプトファンの遊離化が促進されてセロトニンが増加すると、抗うつ効果によって抑うつ症状も改善されます。

・血糖値を下げ、血栓を溶かす

運動時に筋肉から分泌される酵素AMPキナーゼは血糖を分解します。糖尿病の治療において運動があげられている理由には、カロリー消費だけでなく、AMPキナーゼによる血糖値を下げる作用もあります。また、有酸素運動を1日30分程度行うと、血栓を溶かすt-PAが増加します。運動不足の体内でできかけた血栓が、運動することによって自然に溶け出すのです。t-PAは、血栓を溶かす強力な薬として医療の現場でも使用されているものです。

中年期の運動習慣で認知症になりにくくなる

運動することにより、脳や身体が活性化します。気持ちよく汗をかくことが生活習慣病や認知症の予防にもつながっていくのは、まさに一挙両得です。

中年期に週2回以上運動している人は、1回以下の人に比べて、高齢になってからの認知症になるリスクが50%低下したという報告もありますので、運動を習慣にすることを検討してみてはいかがでしょうか。

(文:認知症予防習慣編集部)

参考: