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企業での課題

会社が責任を問われたり、貴重な戦力を失ったりするリスクがあります。

高齢ドライバーの事故リスク
経営者が発症すれば会社存続の危機に

自社の従業員が認知症を発症した場合、企業にはどんな問題が生じるでしょうか。

近年、高齢者の就労支援制度が充実し、高齢になっても働き続ける人が増えています。それ自体は社会全体にとって好ましいことですが、それに伴い、在職中に認知症を発症する人が増える可能性もあります。

たとえば、バスやトラックなどの乗務員が認知症を発症していた場合、重大な事故につながる恐れがあります。道路交通法では75歳以上の運転者は免許更新時に認知機能検査を受け、その結果によってはさらに医師の診断を受けて、認知症であることが判明した場合は、免許取り消しなどの対象になります。

万一、自社の乗務員が認知症を発症しているにもかかわらず、運転業務を続け、重大事故を起こした場合、その乗務員を雇用している事業主も責任を問われる可能性があります。高齢乗務員の認知症を含む健康問題は、本人に任せきりにせず、最新の注意を払って見守り、対応していきましょう。

最近はそうした事業者向けに、タブレットやスマートフォンで手軽に認知機能検査を受けられるサービスを提供するITサービス企業も登場しているようです。

従業員の問題だけではありません。

経営者自身の高齢化も進んでおり、経営者が認知症となるリスクはゼロではありません。経営者が認知症を発症し、進行してしまうと、意思決定がままならなくなる可能性もあり、そうなると会社の存続問題に直結しかねません。経営者はその責任の重さを自認し、いつでも「もしものことが起こったら」に備える必要があるでしょう。

このほか、従業員や経営者が認知症の家族の介護を行うケースも年々増えており、仮に介護を理由に離職することになれば、企業にとっては大きな損失となります。

監修:新井平伊医師(アルツクリニック 東京院長)