40歳からの認知症予防(第4話)精神的安定
2020年09月21日
3.精神的安定、趣味・社会的交流 ~新しいことを学ぶ知的好奇心~
精神の安定につながる認知症とうつ病の関連、趣味や社会的交流の大切さ、新しいことを学ぶことの大切さをお話しします。
精神的安定 ~うつ病と認知症の関係~
認知症は、40歳から5歳刻みの年齢層ごとに有病率で推移を見ると、ほぼ前の世代の2~3倍の割合で増加するのですが、ある年代だけは15倍増になっています。その年代とは、60代前半から後半にかけてです。
年齢階層 | 認知症有病率 |
---|---|
40~44歳 | 0.015% |
45~49歳 | 0.027% |
50~54歳 | 0.052% |
55~59歳 | 0.115% |
60~64歳 | 0.189% |
65~69歳 | 2.9% |
70~74歳 | 4.1% |
75~79歳 | 13.6% |
80~84歳 | 21.8% |
85~89歳 | 41.4% |
90~94歳 | 61.0% |
60代は定年退職や子供の独立などで生活が大きく変化する年代です。自分の役割や価値を見失いがちになるこの時期は、うつ病が生じやすく、同時に認知症が増える「魔の年代」に当たります。この時期を乗り越えるために、40代・50代から準備できることは何でしょうか。
うつ病と認知症の話が一緒に出てくることがありますが、これは、認知症にも抑うつ症状が認められるからです。すなわち、抑うつ症状は認知症の症状の一つでもあるのです。アルツハイマー型認知症とうつ病では、脳内の病状に共通性があります。いずれも海馬における神経栄養因子BDNFが減少して、新しいことを覚える力が低下している状態です。
このため、認知症と診断されるべき人が、うつ病や抑うつ状態などと診断されることがありますが、誤診というわけではなく、正しい診断への第一歩であり、診断が認知症に代わる可能性があることを知っておいてください。
うつ病にかかったことがある人は、そうでない人と比較して認知症にかかりやすくなります。中高年期に抑うつ症状が持続した人は、そうでない人と比べて発症リスクが2~2.5倍高くなります。
うつ病予防のポイント
うつ病の発症率が最も高いのは40代、次いで50代のため、うつ病を予防することも中年期にできることの一つです。うつ病を予防する4つのポイントをまとめます。
- 完璧主義的な考え方、物事を悪い方にとらえる傾向に歯止めをかけましょう。心の重みが積み重なると大きなストレスにつながり、うつ病の原因となりえます。
- ストレスを軽くする生き方を身につけましょう。友人や家族に悩みを話してみる、趣味で気分転換をするなどがあげられます。
- 食事に気をつけましょう。うつ病の人は、精神を安定させる働きのある脳の伝達物質、セロトニンが減少するので、セロトニンを増やす原料となるアミノ酸、トリプトファンを含む食品を摂りましょう。大豆製品、肉類、魚介類、乳製品に重点を置いて、野菜や炭水化物を含め、バランスよく食べることが大切です。
- 日光を浴びる、有酸素運動も推奨されています。
うつ病を予防することで認知症の発症率が減少しますので、働き盛りの中年期には4つのポイントを意識して、ストレスを溜めない生活を心がけてください。
参考:
- 40歳からの「認知症予防」入門 伊古田俊夫
- 「認知症予防は40代から!『脳の老化』薬の要らない防止法」北青山Dクリニック院長 阿保義久