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認知症予防コラム

第2弾!認知症がテーマのおススメ本5選

2021年04月27日

今回は「認知症」をテーマとした本を5冊ピックアップしてご紹介します。
認知症を扱った本は多くありますが、中でも認知症を患った方ご自身の内側を描いたドキュメンタリーや、サポートする方の現実が描かれている作品を中心に集めました。筆者の実体験を通して認知症の現実を見ることで、皆様の支えとなる発見があるかもしれません。幅広い世代の方に楽しんでいただける作品ばかりですので、是非チェックしてみてください。

  • 『ボクはやっと認知症のことがわかった』長谷川和夫 著 KADOKAWA(2019)
  • 『ことことこーこ』阿川佐和子 著 KADOKAWA(2018)
  • 『丹野智文 笑顔で生きる -認知症とともに-』丹野智文 著 文藝春秋(2017)
  • 『ぼけますから、よろしくお願いします。』信友直子著 新潮社刊(2019)
  • 『私は誰になっていくの?アルツハイマー病者からみた世界』クリスティーン・ボーデン 著 かもがわ出版社(2003)

『ボクはやっと認知症のことがわかった』長谷川和夫 著 KADOKAWA(2019)

「長谷川式スケール」(認知症の診断に使われる問診テスト)の開発者である長谷川和夫さんは、2017年に自らが認知症を患っていることを公表しました。精神科医として、また研究者としてこれまで接してきた「認知症」と、実際にご自身が患って分かった「認知症」。この両者のギャップをリアルに描いています。認知症の歴史的な変遷や予防策から、超高齢化社会を迎える日本で、医療が果たすべき役割についてまでを網羅した「認知症の生き字引」からの1冊です。

(以下、「はじめに」より抜粋)
「この本は、これまで何百人、何千人もの患者さんを診てきた専門医であるボクが、また、『痴呆』から『認知症』への呼称変更に関する国の検討委員
も務めたボクが、実際に認知症になって、当事者となってわかったことをお
伝えしたいと思ってつくりました」

『ことことこーこ』阿川佐和子 著 KADOKAWA(2018)

芸能界でマルチに活躍する阿川佐和子さんの介護小説である『ことことこーこ』は、阿川さんの実体験をもとに書かれた作品です。作家であるお父様を2015年に看取り、現在は認知症になったお母様を介護されています。

このお話の主人公は、結婚10年目に離婚し実家に戻った香子(38)。フードコーディネーターとしての人生をスタートした矢先、母の琴子に認知症の症状が・・・。。仕事と介護の両立で奮闘する香子が失敗をして悩んだり、立ち止まったりしながら、新しい人間関係を育んでいく姿は、読者に勇気を届けてくれるでしょう。学芸通信社配信による『徳島新聞』ほか連載を加筆し単行本化。笑いと希望を与えてくれる1冊です。

『丹野智文 笑顔で生きる -認知症とともに-』丹野智文 著 文藝春秋(2017)

著者の丹野さんは、自動車販売会社でトップセールスマンとして活躍するさなか、39歳の若さで若年性アルツハイマー型認知症と診断されます。はじめは大きな不安に苛まれましたが、家族をはじめ、周囲の支えでしだいに笑顔を取り戻します。
仕事では、認知症と診断された後は営業職から事務職に異動し、記憶が抜けても仕事ができるよう工夫したノートを作成。事細かに業務の詳細が書かれたノートは、周りの同僚の役にも立つように書かれています。衝撃や不安に苦しみながらも、前向きに、そして強く生きる丹野さんから、たくさんの希望を与えられる一冊です。

著者は、2015年から認知症当事者の相談を受ける「オレンジドア」を開設。2019年に「認知症当事者ネットワークみやぎ」を立ち上げ、認知症本人大使「希望大使」としてご活躍中です。

『ぼけますから、よろしくお願いします。』信友直子 著 新潮社刊(2019)

認知症の母と、その母を介護する父の姿を娘の視点から描いた作品。しっかり者の母が85歳で認知症と診断され、徐々に身の回りことができなくなる一方、93歳の父がこれまで一切やったことのない家事をやらなければならなくなる現実。認知症はどう進むのか、家族に認知症患者がいるとはどういうことか、また老老介護の現実とは等がリアルに描かれています。

著者の信友直子さんは、ドキュメンタリー制作に携わるテレビディレクターであり、この作品はご自身が映画監督として作ったドキュメンタリー映画が元となっています。令和元年度 文化庁映画賞 文化記録映画大賞、第92回キネマ旬報ベスト・テン文化映画3位、2018年度全国映連賞特別賞、第43回日本カトリック映画賞を受賞しています。

『私は誰になっていくの? アルツハイマー病者からみた世界』クリスティーン・ボーデン 著 かもがわ出版(2003)

1995年に46歳という若さでアルツハイマー病の診断を受けた筆者が、実体験をもとに書いた貴重な作品です。不安と怖れを抱えながらも、病から逃げずに真正面から向き合う、筆者の心の強さが描かれています。

著者は、1996年までオーストラリア政府の首相・内閣省、第一次官補を務め、現在は国際痴呆症支援ネットワーク・オーストラリアアルツハイマー病国家プログラム運営委員会などでご活動されています。

まとめ

今回は、認知症を患ったご本人によるドキュメンタリー作品や、介護する側の実体験をもとにした作品をピックアップしてご紹介いたしました。気になる作品がありましたら、是非お手に取ってみてください。