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認知症予防コラム

においと脳とアロマテラピー

2020年12月09日

認知機能障害者(認知症)や軽度認知障害者(MCI)の多くは早期に嗅覚の衰えがあるといわれています。つまり物忘れなどの症状が出る前に、においが鈍くなるということが分かってきました。
においが鈍くなっていることから食欲が減退したり、においに左右される味覚に変化が出てきたりすること、また症状が進めば腐った食べ物や生ごみ、排泄物などの悪臭にも気が付かなくなってしまうことにも…。

においを脳に伝える嗅覚(嗅細胞)は、聴覚や視覚などが伝わる経路とは違い、いち早く海馬などがある大脳辺縁系に達する仕組みが近年の研究で分かってきました。海馬は記憶と深く関わる脳の重要な器官です。アルツハイマー型の認知機能障害者は海馬の萎縮が見られることが知られています。
しかし、嗅神経や海馬は刺激することで再生の可能性があり、反対に使わないと退化消滅する神経細胞といわれています。日頃から脳を刺激して活性させることで退化を防ぎ、予防効果が期待できることがわかってきました。
においの研究が進むにつれて、アロマテラピーが注目されはじめました。

     http://mamoruito.com/dementia/smell_top.html

アロマテラピーとは、アロマは芳香、テラピーは療法という意味でヨーロッパから広まった非薬物療法です。100%天然植物の芳香成分を嗅いだり、皮膚に塗ったりして体内に取り込むことで、人間がもつ自然治癒力を高めることを目指す療法です。
アロマの芳香成分が嗅神経を通じてにおいの電気信号になり記憶、情動を司る海馬を含む大脳辺縁系に刺激を与え、自律神経系、内分泌系に作用する視床下部に伝わります。このことから感情や行動、学習や記憶の心身の機能に働きかけ大きく影響を及ぼすものと考えられています。(※1)
つまり楽しい記憶や懐かしい記憶が蘇ったり、気持ちがリフレッシュまたはリラックスしたりと大脳辺縁系の特徴を有効に活用した療法が出てきました。

芳香成分として、朝昼はローズマリーとレモン(リフレッシュ)、夜はラベンダーとオレンジ(リラックス)を使用することで一定の効果が期待できることが報告されています。(※1)

当社では、以上のことを踏まえて、アロマ製品販売や高齢者施設や医療機関での認知症デイケアでアロマテラピーを取り入れた認知機能向上プログラムをご提供しております。

その実際の様子や、プログラム効果などについて、またアロマセラピーの楽しみ方や新しい情報などを、引き続きこちらのサイトでお知らせさせていただく予定です。

(※1)引用文献 認知症の最新医療Vol.2 No4「アロマセラピーの現状と課題」浦上克哉 中原淑恵 フジメディカル出版 

アルツハイマーは嗅覚障害から

神経認知機能障害者の多くは早期から嗅覚の衰えがあると言われています。
症状が進むと、生ゴミなどの悪臭もわからなくなっていることが・・・

アロマで海馬を刺激

通常、脳の神経細胞は再生しないと言われていましたが、例外的に脳の神経細胞である嗅細胞や海馬の細胞は再生することがわかりました。

嗅細胞は、嗅神経の先端でにおいをとらえます。その後、におい信号は海馬などにも伝わると言われています。海馬は、記憶を司るところです。神経認知機能障害では海馬が委縮するのが知られています。アロマの芳香成分であるにおい信号で脳を刺激して海馬を活性させましょう。

アロマセラピーによる認知機能改善効果
鳥取大学医学部 浦上克哉教授

「アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は、中核症状である認知機能障害(脳の細胞が壊れることによって直接起こる記憶障害や理解・判断力の低下など)が認められる以前に嗅覚機能の低下が指摘されている。認知症患者における認知機能低下の予防や認知機能、精神症状の改善にアロマセラピーによる嗅覚刺激は有用であると考えられる。」 

「アロマセラピーで用いる精油は100%植物から抽出した本物でないと目的の効果は期待できないため、確かな精油を選ぶことが重要である。」

株式会社MNN
URL:http://www.team-mnn.com/aromabrain/index.html
野口純子
アロマセラピスト
YHAアロマトロジスト