有酸素運動と無酸素運動で認知症を予防!
2024年11月14日
認知症は加齢とともに誰にでも起こりうる症状ですが、認知症を予防する方法として、有酸素運動、無酸素運動の両方を効率的に行うことで認知症の発症リスクを低下させる効果があるとされています。
運動が認知症の予防に効果がある理由と、有酸素運動と無酸素運動の種類と方法についてご紹介します。
有酸素運動とは
有酸素運動とは、ウォーキングやサイクリングのように、運動中に筋肉を収縮させるためのエネルギーを、体内の糖や脂肪が酸素と共に作り出す運動を指します。
筋肉を動かすのに酸素を必要とし、酸素とともに体内の糖質や脂質をエネルギー源として使うため体脂肪が燃焼されます。体脂肪を燃焼することで生活習慣病の予防につながることが期待されています。また、運動をすることで筋肉にブドウ糖が取り込まれるため、血糖値が低下すると考えられます。
有酸素運動により体脂肪が燃焼され、全身の血行が良くなり、脳細胞が活性化したり、また、脳の前頭葉が活性化するとも言われています。
有酸素運動の種類
有酸素運動には、ウォーキング、水泳(水中歩行を含む)縄跳び、ジョギング、サイクリング、エアロビクスダンス、縄跳びなど様々な種類があります。
・ウォーキング
ウォーキングをするときは、ゆっくりとしたペースでは効果が薄いため、息が切れない程度の早足で歩くのが良いと言われています。その際、背筋をしっかりと伸ばし歩幅を大きく、腕をしっかりと振りながら歩くと効果が高まるとも言われています。また、会話しながら歩くのも良いでしょう。時間は10~30分が目安と言われていますが、途中で休憩を入れてもよいとされており、無理しないで行うことが重要です。
・踏み台昇降運動
踏み台に「昇る・降りる」を1セットとして1分間に20セットくらいのペースで続けましょう。好きな音楽を聴きながらリズムに合わせてやると楽しく効果的にできると言われているのでおすすめです。
・椅子に座って足踏み
椅子に座って足踏みを行う簡単な動作です。その際、足はなるべく高く上げて両手を大きく振りましょう。好きな音楽に合わせたり、しりとりなどをしながら行うのも効果的と言われています。
コグニサイズとは?
コグニサイズ(cognicise)とは聞きなれない言葉ですが、英語のcognition(認知)exercise(運動)を組み合わせた造語で、国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた認知症予防を目的とした取り組みの総称です。
コグニサイズを行うことによって、運動で体の健康を促すと同時に脳の活動を活発にする機会を増えるため、認知症発症の遅延が期待されています。できれば、皆で一緒にコグニサイズをして、間違えても笑って、試行錯誤しながら楽しんで行っていただくことでより効果が期待できます。
無酸素運動とは
無酸素運動とは、筋肉トレーニングのような短時間で高い負荷がかかる運動のことを指します。
筋肉トレーニングといっても特別な器具を使わずに自分の体だけでトレーニングできるものが数多くあります。瞬発力を出す運動で、筋肉量を増やす効果があると言われています。筋肉を増やす事で、体を動かしていない時に使うエネルギー量の”基礎代謝量”を増やし、太りにくい体になりことが期待されます。筋肉トレーニングは無理してしまうと続かなくなるので、どの筋肉を使っているか意識して行いましょう。そして、息を吸って、ゆっくり吐きながら呼吸を意識してやることにより、より高い効果を感じられます。強度はトレーニングの目的やご自身の体力を考慮して設定しましょう。インストラクター等の専門家の助言を仰ぐのもよいでしょう。
無酸素運動の種類
・太ももと腹筋のトレーニング
椅子に座りつま先を上に向けて片足を水平にまっすぐ伸ばします。そのとき、太ももの筋肉に意識を集中させて息を止めないように注意します。
片足10回が終わったら、次に反対の足に交換し、左右10回ずつ行いましょう。
・座ったまま両足を上げるトレーニング
まず、椅子に座り両手で椅子をつかんで両膝を揃えます。そして足を上げながら胸を近づけて→胸から足を離す。という動作を繰り返し10回行います。
この時、お腹の筋肉を意識しながらゆっくり呼吸しましょう。
・背中と腰をひねるトレーニング
椅子に座って、片方の手で反対側の膝を掴んだ状態で10秒保ちます。そして、一度力を抜いてからもう一度行います。左右10秒×2回ずつ行います。このときのポイントとして、背中の筋肉に力が入っている事をしっかりと意識しましょう。
・かかとの上げ下げ
電車やバスを待っている間や、お家の中でテレビを見ている時間、歯を磨いている間、料理をしている時に、かかとの上げ下げをする簡単な運動で、ちょっとした時間にできるのでおすすめです。
筋トレとしての効果もありますが、簡単にできる動作なのでどこでも気軽にできます。
有酸素運動と無酸素運動を無理なく日々の生活に取り入れましょう!
ご紹介した、有酸素運動と無酸素運動は今すぐにでも始められる事ばかりですが、季節や天候に合せて、水分補給や暑さ・寒さ対策はしっかりと行いましょう。
また、急な運動は体に負担がかかり、筋肉のけいれんや捻挫などケガの原因となり危険です。
運動前後には必ずストレッチを行い、筋肉をほぐすことが大切です。
少しの空き時間を作り朝・昼・晩で日々の日課として取り入れることで、無理なく運動が長続きできます。生活習慣を見直して出来ることから少しずつ挑戦し、積極的な認知症予防に取り組んでみませんか。
【参考資料】
「健康長寿ネット」 公益財団法人長寿科学振興財団 国立国際医療研究センター糖尿病情報センター 奥本裕也 他 保健医療学雑誌 11 巻, pp 121-126, 2020 年
リズムに乗って軽運動を楽しめると脳の前頭前野機能を高める運動効果が促進される筑波大学プレスリリース 2023.10.13
Reライフ.net国立長寿医療研究センター