検査できる病院を探す

認知症予防コラム

高血糖を防ぐ食事~低GI食品の効果的な活用法~

2023年12月22日

低GI食品をご存知ですか?

GIとは、炭水化物などの食品を食べたとき、実際にどれだけ血糖値が上昇するかを示す指標です。

低GI食品(GI値が低い食品)は糖質の消化吸収が緩やかで血糖値の急上昇を防ぐため、糖尿病の予防につながる食品といわれています。

今回はGIについて解説し、低GI食品を活用するメリットや血糖値が上がりにくい食事の取り方などを紹介します。

肥満を防ぎ、さらに、糖尿病や動脈硬化の予防が期待できる低GI食品を日々の生活に取り入れてみませんか。

GI値とは

日本における糖尿病有病者の割合は最近20年間で増加傾向にあります。糖尿病は眼や腎臓、心臓や脳血管などに合併症を引き起こすため、ぜひ予防・治療したい病気のひとつです。

糖尿病の食事療法は、血液中のブドウ糖の値を健常な人の血糖値に近づけていく血糖コントロールが基本になります。

現在、糖尿病の食事療法において一般的に使われているのは「糖尿病食事療法のための食品交換表」です。 食品交換表を基本とした食事療法では、同じカロリーであれば血糖値の上がり方は同じであることを前提とし、栄養素のバランスが崩れないようにしながらカロリーを抑えていくことがポイントになります。

カナダのジェンキンス博士らは、同じ糖質量であっても血糖値を上昇させるスピードやその度合いは食品によって異なることを発見しました。 GI(グリセミック・インデックス)はその食品を食べたとき、 実際にどれだけ血糖が上がるかを示す指標となるものです。GIは食品が消化されて食後2時間までの間にどのくらい血糖を上げるかを数値化したもので、食後血糖値の上昇度を示す指数です。 このため、GIの値が高い食品ほど、食後の血糖値が上昇しやすいと言えます。

同じカロリーの2つの食品でもGIが違っていれば、血糖値の上がり方が違ってきます。

血糖値を上昇させるスピードが速い食品を食べると血糖が急激に上昇し、インスリンの分泌量が増えます。 逆に血糖値を上昇させるスピードが遅い食品を食べると血糖値が急上昇せずインスリンの分泌量も少なくなります。

低GI食は肥満を改善し糖尿病の予防につながると考えられます。 また、心臓血管系の病気や高血圧症にも有効と思われます。

低GI食にする5つのメリット

  1. 肥満の予防と治療

血液中の過剰なブドウ糖がエネルギーとして燃焼されないことが肥満の要因となります。低GI食にするとブドウ糖の急激な増加を防ぐため、肥満に対する予防と治療効果が期待されます。

  • メタボリックシンドロームの予防と改善

メタボリックシンドロームとは内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態をいいます。

低GI食にすると内臓脂肪の蓄積を防げることが期待されるため、メタボリックシンドロームの予防と改善につながると考えられます。

  • 糖尿病の発症を予防する

低GI食はインスリンの働きを良くしたり、インスリンを分泌する膵臓の負担を減らしたりすることができるため、糖尿病の発症予防につながると考えられます。

4. 糖尿病の血糖コントロールの改善

糖尿病の食事療法として活用される食品交換表と低GI食を組み合わせることで、

より効果的な血糖コントロールが可能になることが期待されます。

5. 心臓血管系疾患(狭心症、心筋梗塞)の予防

中性脂肪や悪玉コレステロール濃度の上昇を抑え、動脈硬化の予防につながると考えられます。

 

低GI食にすると、体はゆっくり長い時間をかけて炭水化物をブドウ糖に変えていきます。つまり、血糖の上昇が穏やかになるため、細胞はインスリンの過剰な刺激を受けずにすみインスリン抵抗性の悪化を防いでくれます。さらに、低GI食にすれば気分的にも安定し、GIの高い食品をとった後におこる空腹や疲労感、集中力の欠如などを招くことが少なくなると思われます。

低GI食をとることはインスリンの過剰な分泌を防ぎ、膵臓を守ることにもつながると考えられます。食後の高血糖を予防し、肥満や糖尿病を回避できる可能性が高くなりそうですね。

低GIの主食の選び方

糖質を多く含む主食はGIが高くなりがちです。血糖値のコントロールのためにも少しでもGIの低い主食を選ぶようにしましょう。GIは原則として糖質の含有量が少なく、食物繊維が多いものが低くなる傾向にあります。

ご飯については、精製度の高い白いご飯が最もGIが高く、精製度の低い玄米ご飯が最もGIが低くなります。雑穀ご飯のGIは雑穀の種類や量によって異なりますが、低めになります。

パンについては、生成された小麦粉が主原料の食パンはGIが高くなります。ライ麦パンはライ麦の食物繊維の働きでGIが低くなります。

麺については、うどんは小麦粉が主原料のためGIが高くなります。中華麺は卵や油脂などの副材料の影響でうどんと比較してGIがやや低くなり、そばは食物繊維が豊富なためGIが低い食品になりますが、そば粉の含有割合は様々ですので注意が必要です。

GIを理解してより良い血糖コントロールを

食事の食べる順番を工夫することで、血糖値の上昇を穏やかにすることができます。

血糖値が高い人は、食事の最初に野菜のおかずを食べることをお勧めします。

食物繊維が豊富な野菜は、食後の急激な血糖上昇を防ぐ低GI食品です。野菜のほか、キノコや海藻などでも構いません。 ご飯などはゆっくりとよく噛んで食べることで血糖値の上昇を防ぐことができます。 食事の途中で汁物を取ることで早食いを抑えることができ、血糖値の急上昇を防ぎます。汁物の中に野菜や海藻、きのこをたっぷり加えて具だくさんにすればさらに効果的です。

酢は胃での食物の停滞時間を伸ばし、食物をゆっくり消化させる作用があります。乳製品は胃と小腸の粘膜壁に薄い膜を作るため、食物の消化吸収がゆっくりになると言われています。そのため、GIの高い食品に酢や乳製品を加えると消化吸収が遅くなり血糖値の急上昇を防いでくれると考えられます。

まとめ

精製された食品より精製度の低い食品のほうがGI値は低くなります。低GI食品を多く取り入れて調理し、食事の食べる順番に気をつけて血糖の急上昇を防ぎましょう。また、食物をゆっくり消化させる作用がある酢や乳製品を使うことも効果的です。

低GI食品を活用することで摂取エネルギーを抑えおいしく調理ができます。

毎日の食事に低GI食品を積極的に取り入れ、肥満や糖尿病の予防につなげたいですね。

参考文献

林進監修,低GIごはんが血糖値を下げる,NHK出版生活実用シリーズ(2012)

林進監修,慈恵医大葛飾医療センター栄養部が推奨する 低GIレシピ,法研(2012)