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認知症予防コラム

地中海食と運動の組み合わせは脂肪の燃焼と筋肉量の増加に有効

2023年11月08日

 色とりどりの野菜や果物、健康的な脂質、脂肪分の少ないタンパク質が豊富な地中海食と、定期的な運動およびカロリー制限の組み合わせは、高齢者の腹部の脂肪(内臓脂肪)の減少と筋肉量の増加に役立つことが、スペインで実施された研究で明らかにされた。バレアレス諸島保健研究所(スペイン)のDora Romaguera氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に10月18日掲載された。

 内臓脂肪は炎症の原因となることが知られており、心疾患や脳卒中、糖尿病、特定のがんと関連することも示されている。一方、筋肉量は加齢とともに減少することが知られており、筋肉量が減少すると、筋力低下や運動能力の低下、転倒の可能性が高くなる。

 今回の研究では、過体重または肥満(BMIが27〜40)でメタボリックシンドロームの中高年1,521人(55〜75歳、平均年齢65.3歳、男性52.1%)を対象に、減量のための生活習慣への介入が、全体的な体組成と内臓脂肪にもたらす効果が検討された。対象者は、地中海食を摂取し、カロリーを30%カットし、運動量を増やす介入群(760人)と、地中海食の摂取に関する助言だけを受ける対照群(761人)にランダムに割り付けられた。介入群には、加工食品、肉類、バター、砂糖の摂取を抑えて全粒穀物の摂取量を増やすことと、最終的には週6日、1日45分以上のウォーキングを目標に、段階的に有酸素運動の量を増やすことが勧められた。主要評価項目は、介入から3年間での体組成(体脂肪、筋肉、内臓脂肪)の変化量とされた。

 その結果、試験開始から3年後、介入群では対照群に比べて、体脂肪と内臓脂肪が大幅に減少した一方で、筋肉量は増えていることが明らかになった。両群での1年後時点と3年後時点での群間差はそれぞれ、体脂肪で−0.94%(95%信頼区間−1.19〜−0.69)と−0.38%(同−0.64〜−0.12)、内臓脂肪で−126g(同−179〜−73.3)と−70.4g(同−126〜−15.2)、筋肉量で0.88%(同0.63〜1.12)と0.34%(同0.09〜0.60)であった。また、1年後時点と3年後時点で体組成に5%以上の改善が認められた対象者の割合は、対照群と比べて介入群では、体脂肪で13%と6%、筋肉量で11%と6%、内臓脂肪で14%と8%多かった。

 米モンテフィオーレヘルスシステムで臨床栄養サービスのディレクターを務めているCewin
Chao氏は、この研究を「野心的でエレガントな研究」と評する。同氏は、「質の高い食事を摂取し、運動を行い、摂取カロリーを減らせば、体脂肪、特に臓器を取り囲む腹部の危険な脂肪が減り、筋肉量が維持されるのはある意味当然の結果だろう。こうした努力は、3年という節目で報われるようだ」と述べている。

 米ニューヨーク大学の栄養学、食品学、公衆衛生学分野の元教授であるMarion
Nestle氏も、「摂取カロリーの削減と運動量の増加に減量効果があることは確実だ」と話す。同氏は、「この研究で地中海食を実践した人は、3年にわたって摂取カロリーを抑え、カロリーバランスを良好に保つことができている。このような食事スタイルは、あらゆる面での健康増進と関連しており、強く推奨される」と述べている。(HealthDayNews 2023年10月24日)

https://www.healthday.com/health-news/nutrition/mediterranean-diet-plus-exercise-burns-fat-adds-muscle

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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2810826