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認知症予防コラム

ゴルフは高齢者の健康維持に最適

2023年02月27日

 老後も健康でいたい人は、ゴルフクラブを持ってグリーンに出ると良いようだ。新たな研究から、心臓の健康を向上させるという点で、ゴルフはウォーキングやノルディックウォーキング(特殊なポールを用いたウォーキングによる全身運動)よりも優れていることが明らかにされた。研究論文の筆頭著者で、東フィンランド大学(フィンランド)生物医学/スポーツ・運動医学研究所のJulia Kettinen氏は、「ゴルフは体を動かす意欲を高め、あまり距離を意識せずに長く歩けるという点でも優れた運動方法である」と述べている。この研究は、「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に2月6日掲載された。

 この研究では、ゴルフを行う65歳以上の健康な25人(男性16人、平均年齢68.4±4歳)を対象に、18ホールのゴルフコースを回った場合の心臓への効果を、6kmのノルディックウォーキングまたは通常のウォーキングと比較した。試験参加者の血圧、血糖値、コレステロール値を評価したほか、心臓モニターで心拍数を、手首に装着するフィットネスデバイスで運動による移動距離、持続時間、ペース、歩数、消費カロリーを追跡した。

 その結果、3種類の運動はいずれも対象者の心臓の健康に有益であることが示された。ただしゴルフは、運動強度は低いものの、ノルディックウォーキングや通常のウォーキングよりも、運動に要する時間(210±30分)と距離(8.8±1.2km)が長く、歩数(1万3,446±1,314歩)と消費カロリー(1,377±301kcal)が多かった。またゴルフは、ノルディックウォーキングや通常のウォーキングに比べて、HDLコレステロールとトリグリセライド(中性脂肪)に、また通常のウォーキングに比べて血糖値に有益な影響を及ぼすことが示された。血圧については、収縮期血圧はいずれの運動後でも有意に低下していたが、ノルディックウォーキングと通常のウォーキングでは拡張期血圧にも有意な低下が認められた。

 こうした結果を受けてKettinen氏は、「徒歩で行うゴルフは、健康な人に対しては心血管疾患の予防手段として、また、すでに心血管疾患を有している人に対しては心臓の健康状態を改善する手段として、高齢者に推奨できる運動だ」と述べている。ただし、ウォーキングやノルディックウォーキングでも十分に効果はあるという。同氏は、「今回の研究は小規模であり、またゴルフをする人のみを対象としていたため、ほとんどの試験参加者はノルディックウォーキングに慣れておらず、技術が伴わなかった。そのため、ノルディックウォーキングは、実際より効果が低く見積もられた可能性もある」との見方を示している。

 英エディンバラスポーツ・健康医学研究ネットワークの共同代表であるAndrew Murray氏は、「ゴルフが有効である理由の一つは、年齢に関係なくできる点にある。3歳でも103歳でもゴルフは健康に良い。ゴルフのように生涯にわたって続けられるスポーツは、他にあまりない」と述べる。さらに同氏は、「ゴルフはメンタルヘルスの健康にも有益であり、人との関わりを維持することで認知症の発症リスクも低減できる可能性がある」と話している。(HealthDayNews 2023年2月7日)

https://consumer.healthday.com/golf-2659368842.html

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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://bmjopensem.bmj.com/content/9/1/e001474

Press Release
https://www.bmj.com/company/newsroom/playing-golf-may-be-just-as-healthy-or-better-than-nordic-walking-for-older-people/