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認知症予防コラム

瞑想で起きる身体の変化

2022年10月12日

瞑想といえば足を組む座禅をイメージし、足が痛いのでは…と思われるかもしれません。

しかし、瞑想にはさまざまな姿勢があり、歩きながらおこなうこともできるのです。気持ちを落ち着ける効果や集中力を高める効果を期待して、瞑想の人気は高まっています。

米国のジョン・カバットジン博士は、ストレス管理に役立つメンタルトレーニングとしてマインドフルネス瞑想法を開発しました。また、近年では新たな研究がすすみ、瞑想が脳に良い刺激を与え脳の老化を遅らせることもわかってきたのです。

今回は、認知機能に影響する脳の老化について深掘りし、瞑想の効果と実践方法について紹介していきます。

瞑想の効果 

瞑想をすることで、どのような効果が現れるのでしょうか。

おそらく、10分ほど瞑想するだけでも、頭がすっきりした感じや脳の疲労が取れた感じを味わうことができるでしょう。さらに継続すると、多くの健康効果があることがわかっています。

厚生労働省eJIMでは、「健康のために行う瞑想について科学が示す8つのこと」を紹介していますが、以下はそのなかで健康のために有効とされる4つです。

  1. 瞑想などの心身療法は、がんの諸症状や治療の副作用に苦しむ人々の不安感、ストレス、疲労、一般的な気分障害や睡眠障害を和らげることで、生活の質を向上させることが示されています。
  2. 瞑想が血圧を下げる可能性を示すいくつかのエビデンスがあります。
  3. 瞑想ベースのプログラムが一般的な更年期の諸症状を軽減するのに有効である可能性が示唆されています。
  4. 瞑想が不安感の症状を改善する中等度のエビデンスがあります。2014年の文献レビューは、マインドフルネス瞑想プログラムが、不安感、うつ、疼痛を改善する中等度のエビデンス、またストレス・苦痛、メンタルヘルスに関連する生活の質を改善する低いエビデンスを示しました。

このように、瞑想は病気やさまざまな症状を改善することが解明されています。

瞑想は認知症予防にも効果がある?  

人間の脳は20歳頃から、脳の表面近くの神経細胞が密集する「灰白質」の容積が減少しはじめるといわれています。この灰白質の容積は加齢の変化が現れやすいため、脳年齢を測定するときの指標として使われています。

アイリーン・ルーダース博士は、24歳から77歳までの長期間瞑想をしている人々と瞑想をしていない人々の脳灰白質を調べました。

両者の比較はどちらも年齢が高くなるほど灰白質の低下がみられましたが、瞑想をしているグループは瞑想をしていないグループより加齢に伴う灰白質の低下が少ないことが示唆されました。さらに、年齢の影響を受けた脳の領域は、瞑想をしているグループよりも瞑想をしていないグループのほうがはるかに拡張されていた広かったのです。

これらの研究結果は、長期間瞑想をしている人々は加齢に関連した灰白質の萎縮が少ないことを示唆しました。

瞑想には脳の老化を遅らせる作用がありそうですね。

瞑想が認知症予防に効果があるのかについては、今後の研究に期待されるところです。

マインドフルネスとは  

ジョン・カバットジン博士は1979年にマインドフルネスに基づくストレス低減プログラムを実施するセンターを開設しました。このプログラムは仏教や東洋思想の技法がベースになっていますが、宗教に関係なく誰もがおこなえるもので「マインドフルネス瞑想法」と呼ばれています。博士はストレスの低減や慢性疼痛の緩和という瞑想の効果を医療の分野にまで広げました。

マインドフルネスとは「注意を集中する方法」あるいは「意識を呼び起こす方法」といった意味になります。意図的に何かをするのをやめ、今という瞬間の中で自分を解放し、自己の存在を実感していくものです。自分が何かをしている最中に、していることを意識できるようにするのがマインドフルネス瞑想法の本質です。

瞑想をすることで事実をありのままにみることができ、物事を素直に受け止め対処することができます。

マインドフルネス瞑想を毎日、一定の時間継続することで、注意力や集中力がしだいに培われていきます。

瞑想の方法  

瞑想には多くの種類がありますが、ここではマインドフルネス瞑想の「静坐瞑想法」を紹介します。

瞑想を始めるにあたって

瞑想を始めるのに特別な場所や道具は必要がありませんが、姿勢にあわせてイスや座布団を使うと楽におこなうことができます。服装も普段どおりで結構です。

最初は自宅で10分間、ゆっくりおこなってみましょう。慣れてきたら少し時間を伸ばしてもよいですね。

  • 呼吸法

瞑想をおこない、治癒力を高めていくうえで、呼吸はとても重要な役割を果たします。呼吸を意識すれば、「今」と「ここ」に意識を集中することができるのです。

まず、楽な姿勢で呼吸中のからだの動きに意識を集中し、からだの一部が呼吸と一体になる感覚を意識します。このとき、呼吸をコントロールする必要はありません。自然な呼吸で、呼吸にともなう筋肉の動きや空気の流れを感じとってください。

  • 静坐瞑想法

落ち着ける場所を選んで座り、楽な姿勢をとります。足の形はあぐらでもよいし、イスに腰かけてもよいでしょう。イスを使用する場合は、できれば背もたれに寄りかからずに腰かけます。

呼吸に意識を集中して呼吸法をおこないます。意識をからだのどこか一点に集中しますが、はじめは鼻の穴かおなかに集中させるのがよいでしょう。空気の流れに意識を集中して10分間瞑想します。

途中で雑念がわいてきたら、また呼吸に意識を戻すようにしてください。疲れて姿勢を変えたくなっても、まずはその衝動に抵抗します。そして、その不快感に注意を向け、受け入れてください。不快感はあなたの集中力や注意力を高めてくれます。

瞑想を継続する

瞑想を継続するためには、取り組みやすい時間帯を決めて習慣にするのがよいでしょう。おすすめの時間帯は朝と夜です。毎日継続するという意識を持つことが大切です。

おわりに 

いかがでしたか。今回は一種類の瞑想方法しか紹介できませんでしたが、まずは基本をマスターして続けていきましょう。

瞑想をすることで集中力や注意力を高め、認知機能に影響する脳の老化を予防することができそうですね。瞑想は道具がいらず簡単にできることから、からだに負担の少ない優れ

た心身の健康法といえます。

ぜひ、今日から始めてみましょう!

参考文献  
 

J. カバットジン著・春木豊訳,  マインドフルネスストレス低減法,  北大路書房(2007)

有光興記監修,  図解 マインドフルネス瞑想がよくわかる本,  講談社(2017)

Eileen, L. , Nicolas, C. & Florian, K. Forever Young (er): potential age-defying effects of long-term meditation on gray matter atrophy. Frontiers 10, 3389/01551(2014)

厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』

https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/07.html

ディスクリプション 

マインドフルネス瞑想が脳の老化を予防し、認知機能の低下を抑制するのかについて調査した論文を解説し、高齢者でも楽にできる瞑想方法とその効果を紹介しています。