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認知症予防コラム

「認知症サポーター」をご存知ですか?

2021年02月02日

認知症の人とその家族を地域でサポートする「認知症サポーター制度」という取り組みがあります。

認知症サポーターとは、特定非営利活動法人「全国キャラバンメイト連絡協議会」が実施する認知症サポーターキャラバン事業において、認知症サポーター養成講座を受講・修了した方を称する名称です。

認知症サポーターとは

  • 全国で約1,300万人の方が認知症サポーターになっています(令和2年12月31日時点)。
  • 90分の養成講座(無料)を受けることで、誰でも認知症サポーターになれます。
  • 講座受講を終了した方全員に、地域連携の印である「オレンジリング」(ブレスレット)が贈られます。

認知症サポーターは、特別な資格や職業ではなく、認知症患者やその家族を見守る応援者になってもらうことが目的です。
活動内容は、講座で得た知識を友人や家族に伝えたり、認知症になった人や家族の気持ちを理解するよう努めることや、可能な範囲の手助けをするなど、さまざまです。

認知症サポーター誕生の背景

厚生労働省は、2005年から認知症を知り地域をつくるキャンペーン(=認知症サポーターキャラバン)を開始し、認知症サポーターの養成を行っていました。10年後の2015年、同じく厚生労働省が発表した「新オレンジプラン」で、認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進が打ち立てられ、その主な施策として認知症サポーターが取り上げられました。

国がこうして認知症サポーター養成に力を入れているのは、高齢化に伴い認知症の人が増え続ける中、これまでのように介護施設や家族だけでは、認知症の人を支えることは難しいという認識があるからです。認知症の人自身も、介護が必要になっても住みなれた地域で生活し続けたいという思いを抱いています。誰もが住みよい暮らしを送るためには、多くの人が認知症を理解し、普段の暮らしの中で認知症の人を見守り、できる範囲で手を差し伸べられることが必要です。

認知症サポーターに求められる役割

  1. 認知症の人の心情を理解する
    認知症の人をサポートする方と同様に、認知症を患った方々の心情も様々です。「本人は自覚がない」という考えも大きな間違いであり、最初に症状に気づき、誰より一番不安になって苦しむのは本人です。認知症の人は理解力が落ちているものの感情面は繊細なため、認知症の人を思いやる優しさが必要とされています。
  2. 認知症の人や家族を温かく見守る
    認知症の人は、例えばお金の計算が難しいことで、レジでの支払いが苦手になることがあります。周囲に変な目で見られたり、怒られるのではないかと恐れて外出を避けることもあります。もし、認知症の人がそのような状況であったとしても、優しく見守る姿勢があるだけで認知症の方とご家族はより気楽に外出できるはずです。周囲の人が認知症の特性を知り、温かく見守る雰囲気が高まることが期待されています。
  3. 認知症の人や家族に、自分ができることを実践する
    専門家でなくても、認知症の方ご本人や家族に対してできることはあります。道に迷っていれば声をかけること、踏切や横断歩道に戸惑っていれば一緒に渡ること、介護をしている家族の愚痴を聞くこと等…簡単に無理なく行えることを、それぞれの人が少しずつ実践することが、認知症とともに歩む社会への第一歩となります。
  4. 地域で相互協力し、ネットワークをつくる
    地域包括支援センターの場所を知っていること、家族の会の存在を知っていること、近くの介護事業所に顔見知りの職員がいること、そして困っている人がいれば情報連携すること。各々が実行していくだけで、地域の助け合いの輪は自然と広がっていきます。

認知症サポーターになるには

認知症サポーターに関する情報は、都道府県及び市区町村より提供されています。認知症対策や高齢者支援の窓口では、いろいろなかたちで地域支援をする体制が整っており、支援をしたい方、支援を受けたい方に開かれてます。

参考文献:

認知症サポーターキャラバン
厚生労働省 新オレンジプラン