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認知症予防コラム

認知症予防にもココナッツオイル習慣 ~ケトン体という脳のエネルギー~

2020年12月28日

数年前、ココナッツオイルがブームになったことを覚えていますか?健康効果、美容効果の高さで注目され、飲み物や調味料として、また肌や髪に直接塗布して使われていました。実はこのココナッツオイル、認知症予防にもその効果が期待されているのでご紹介します。

ココナッツオイルの優れた3つの特長

ココナッツオイルが注目されたのは、以下のような特長があるからです。

  1. 豊富なビタミンE
    ビタミンEはアンチエイジングに欠かせない成分で、抗酸化作用・抗炎症作用・美白効果・肌を保護する機能があります。摂取することにより、ガン抑制、うつ病予防、関節痛の痛みを和らげます。肌に直接塗ると、保湿、日焼けによるシミ・シワ・くすみの防止、ニキビ予防になる他、傷の損傷を癒して細胞の成長を促進する効果もあります。
  2. ラウリン酸が含まれている
    お母さんの母乳に豊富に含まれているラウリン酸。この成分は免疫力のない赤ちゃんを守る重要な成分で、抗菌・抗ウイルス・抗真菌作用があります。風邪はもちろんのこと、胃潰瘍、副鼻腔感染症、肺炎、水虫、カンジタ症、インフルエンザ、麻疹、HIVなどなど、様々な感染症を寄せ付けない、天然の抗生物質のような働きをします。
  3. 中鎖脂肪酸である
    中鎖脂肪酸は体に蓄積されず、すぐにエネルギーになる油で、コレステロールや中性脂肪の値を下げ、心臓発作や脳卒中を予防します。

認知症の予防、症状改善に繋がる『ケトン体』

今回着目するのは、3つ目の中鎖脂肪酸の効果です。『ケトン体』というエネルギーをつくり、このエネルギーが、認知症の症状改善や予防につながると報告されています。

ココナッツオイルでケトン体をつくる

私たちは食事の中で炭水化物を摂取し、分解・消化されたブドウ糖(グルコース)をエネルギー源としています。しかしブドウ糖が枯渇すると、体内に蓄積された脂肪が肝臓でケトン体という次なるエネルギー源を産出します。
通常は体内にブドウ糖がなくなったときに、ケトン体をエネルギー源にするようシフトされる仕組みになっていますが、ブドウ糖が体内にあるときでも、ケトン体を作る成分があります。それが中鎖脂肪酸、ココナッツオイルです。ココナッツオイルを効果的に利用することで、ケトン体をエネルギー源として利用することができます。

ケトン体が脳の栄養不足を助ける

脳は通常、エネルギー源として「ブドウ糖」を利用しています。しかし、アルツハイマー型認知症患者は、脳のインスリンが不足しているためにブドウ糖をエネルギーとして上手く使えません。すると結果的に脳細胞がエネルギー不足になり、認知機能の低下につながります。これに対して「ケトン体」はインスリンを必要としないため、アルツハイマー型認知症の方でも、エネルギーとして脳で利用できます。そのため脳が活性化し、失われた機能を回復させることができるのです。

ケトン体が脳に与える効果

脳のエネルギーとしてケトン体が使われることで、ブドウ糖をエネルギーとして使っていた時には見られない数々の効果が報告されています。

  • 神経栄養因子BDNFの作用を向上させる
    → ニューロンの成長を助ける
  • ニューロン生成の材料である脂質を提供する
    → 損傷を受けた脳細胞の再生や修復、新しい脳細胞の合成を助ける
  • 神経保護作用がある
    → アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS等の神経変性疾患を防ぐ
  • エネルギーに変換される際に使われる酸素が少ないため、活性酸素が発生しにくい
    → 抗酸化物質が減らずに蓄えられる
  • 脳に運ばれる血流を39%増加させる
    → 炎症を沈め、酸素利用率を高める

失われた機能がケトン体で回復

ココナッツオイルを摂取するようになってから、認知症の人が自分で着替えられるようになった、記憶がもどった、会話が明瞭になったという報告がされています。脳は一部の細胞が損傷を受けても、他の部分の細胞がその機能を代わりに果たすので、できなかったことができるようになります。脳は、脳細胞を修復し、新しい脳細胞を作り出すことができるのです。

毎日の食生活に取り入れたい、ココナッツオイル

ココナッツオイルは継続的に摂取しましょう

ケトン体が最も増えるのはココナッツオイルを摂取してから3時間後で、8時間ほど持続します。継続的に摂取することが望ましく、3回の食事の際に大さじ1~2杯程度の量を摂取しましょう。

ココナッツオイルは製法に気をつけて

ココナッツオイルは、精製加工されたものでは効能が低くなってしまうので、「バージン」または「エクストラバージン」という表記のある天然のものを選ぶことが大切です。また、溶剤などを用いて抽出する方法もあるため、低温で圧搾する「コールドプレス」を選んでください。

ココナッツオイルを摂るには

ココナッツオイルは加熱しても成分が安定しているため、バターやサラダオイルの代わりに使うことができます。肉や魚料理のソース、ドレッシング、オーブン料理、ソテー、スープにお使いいただくと、アジアンテイストになり、いつもと違った風味が楽しめます。
手軽に摂取するには温かい飲み物に加えるのが良いでしょう。慣れてくるとそのままスプーンですくって飲めるようになります。
ココナッツオイルブームの時に、多くのレシピが投稿されましたので、検索でお気に入りが見つかるかもしれません。


今回は脳におけるケトン体の効果を紹介しました。ケトン体は細胞のエネルギー不足によって生じるさまざまな疾患に効果があると言われています。糖尿病、脳卒中、心不全、頭部外傷、うつ病、自閉症、ALS、多発性硬化症、てんかんがその一部で、その他さまざまな神経変質疾患に効果があります。
ケトン体をつくるココナッツオイルは、一時のブームで終わってしまうのはもったいない優れたオイルです。ココナッツオイルでケトン体を増やし、エネルギー源を見直してみませんか。神経障害の予防、脳をはじめとした身体機能の改善を実感できるかもしれません。

参考文献:
・「ココナッツオイルで今すぐアルツハイマー病をストップさせよう!」ブルース・ファイフ
・「ココナッツオイルが認知症に効く本当の理由」中野重徳、満尾正
・「VCOヴァージンココナッツオイル 生命を育むココナッツオイル!」健康ジャーナル社