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認知症予防コラム

お茶を飲む習慣と認知機能の関係

2020年10月05日

認知機能の低下を抑制

お茶を飲むことで、加齢に伴う脳組織の衰退が抑制されると報告がありました。この報告はシンガポール大学、エセックス大学、ケンブリッジ大学の共同研究で、2019年9月に医学誌「Aging」に発表されています。

研究は、2015~2018年に60歳以上の36人の成人に対して、健康状態、生活習慣、及び心理的幸福に関するデータを収集し、神経心理学検査と磁気共鳴画像法(MRI)を解析したものです。
その結果、緑茶、ウーロン茶、または紅茶のいずれかを週に4回以上約25年間摂取した人は、加齢によって増える脳組織の障害から保護されている可能性があることが分かりました。老化とともに脳の領域間の接続性は低下しますが、習慣的にお茶を飲んでいると脳の領域間の距離が短く、接続性が効率的であることが分かりました。脳組織が効率よく情報を処理するように改善されるため、認知機能の低下が抑制されていることが報告されています。

認知障害リスクが減少

シンガポール大学では2017年にもお茶に関する研究を発表しており、こちらではアルツハイマー病などの認知障害リスクが大幅に減少することを報告しています。

報告は、2003年~2005年に55歳以上の957人の中国人を対象としてお茶の消費情報を収集し、その後2年ごとに2010年まで認知機能の評価した内容です。
その結果、毎日お茶を飲むことで高齢者の認知機能低下のリスクが50%低下し、遺伝的にアルツハイマー病を発症するリスクの高いAPOE4遺伝子を持つ人においては、認知障害リスクが86%減少することが分かりました。

紅茶やコーヒーでなく緑茶の摂取は、認知機能低下と関連

2014年に金沢大学から緑茶と認知機能低下の関連について報告されています。
緑茶を全く飲まない群と較べて、緑茶を週に1~6回飲む群では約1/2に、緑茶を毎日1杯以上飲む群では約1/3に減少していることを見出しました。

この結果から、緑茶摂取習慣が認知機能低下に予防的効果を有する可能性が示唆され、また、緑茶に含まれる天然化合物の作用機序の解明により、有効かつ安全な認知症予防法開発につながることが期待されます。

お茶を飲む習慣が脳に与える影響が大きいことが分かります。
お茶の茶葉にはカテキン、テアフラビン、テルビギン、テアニンなどが含まれており、これらの抗炎症作用や抗酸化作用が、血管損傷や神経変性を抑制していると言われています。

日本には古くから緑茶を飲む習慣があります。健康に関する緑茶の効果は多く報告されていますので、毎日緑茶を飲んでいる方は是非継続してください。
若い世代の方は緑茶を含むお茶を飲む習慣がないかもしれません。現在海外では抹茶が大変注目されていますので、毎日飲んでいるコーヒーをたまには抹茶や緑茶に変えてみてはいかがでしょうか。新たな習慣になるかもしれません。

出典: