認知症予防の栄養学
2020年08月31日
目次
食事で認知症を防ぐ
認知症予防には、五大栄養素(1. 炭水化物、2. タンパク質、3. 脂質、4. ビタミン、5. ミネラル)をバランスよく摂取することが有効です。食事から得られた栄養素は血液によって脳へ運ばれ、脳の働きをサポートします。栄養不足や不規則な食生活が続くと、認知症の発症リスクを高めるだけでなく、心臓病や動脈硬化、ガン等の病気を引き起こすこともあるので注意が必要です。脳の健康を維持するために、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
脳の老化を防ぐ!10食品群のバランス食
肉類
良質のたんぱく質に加え、牛肉や豚肉にはエネルギー代謝に必要なビタミンB1、たんぱく質の代謝に働くビタミンB6なども豊富。脂肪の少ない赤みがおすすめです。
魚介類
青魚に多く含まれるDHAやEPAには、血管の炎症を抑えて血液をサラサラにする効果があります。 なかでもDHAは脳の神経細胞の機能維持に強く関係しています。
卵
たんぱく質食材であると同時に、ビタミンCを除く栄養素をバランスよく含みます。脳の働きを良くするレシチンを含むため、1日1~2個は意識して摂取した方が良いでしょう。
牛乳・乳製品
牛乳由来のたんぱく質は吸収されやすく、カルシウム補給のためにも積極的に摂りたい食品群です。 余分なナトリウムを排出し、血圧を下げる働きもあります。
大豆・大豆製品
植物性の良質なたんぱく質源で、血清コレステロール値を改善するレシチンも豊富です。納豆に含まれる特有の酵素は血栓を溶かし、動脈硬化の予防も期待できます。
緑黄色野菜
1日に推奨される野菜の摂取量350gのうち、約1/3は色の濃い緑黄色野菜に含まれています。豊富なβ-カロテンが、体内で老化の原因になる活性酸素の害を防ぎます。
芋類
脳のエネルギーとなる糖質が多く、不足しがちな食物繊維も豊富です。サツマイモ、サトイモ、ジャガイモなどにはビタミンCが多く含まれます。
果物
ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。食物繊維が凝縮したドライフルーツや缶詰もおすすめです。 ただし、糖分も多いので食べ過ぎには注意しましょう。
海藻類
食物繊維の他、カルシウム、甲状腺ホルモンの材料になるヨウ素等のミネラルを豊富に含むのが特徴です。海苔や昆布の佃煮等を常備しておくと便利です。
油脂類
細胞やホルモンの材料になる大切な栄養素です。油の種類は問わず、1日大さじ1杯を摂ることをお勧めします。
こんな食生活にご注意を!
1. 水分不足にご注意
水分不足は血液を固まりやすくし、脳血管性認知症のリスクを高めます。高齢者は体内の水分が不足するうえ、喉の渇きを感じにくいです。食事中を含め、1日1.5~2ℓの水分を目安に摂取することが重要です。
2. 糖質オフにご注意
ダイエット目的の糖質オフは脳のエネルギー不足を招きます。糖質(炭水化物)は脳にとって唯一のエネルギー源です。貯蔵した栄養が消費されて筋肉を減らす原因にもなるため、極端な糖質制限は厳禁です。
3. 食べる順番にご注意
食べる順番は「ベジ・ファースト」よりも「たんぱく質・ファースト」を意識することが重要です。ダイエットに良いとされている食べ方も食が細くなる高齢者向には不向きです。野菜を先に食べて満腹になる前に、まずは肉や魚など、たんぱく質の豊富な料理を先に食べることが重要です。
引用:
- 株式会社MCBI発行 認知症予防マニュアル
(東京家政大学 家政学部栄養学学科 和田涼子先生監修)