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MCIスクリーニング検査結果報告書の見方

表紙

MCIスクリーニング検査は認知症かどうかを調べる検査ではありません。
認知症の前段階であるMCIのリスクを調べる検査です。
判定結果が悪い場合でも認知症のリスクがあるというわけではなく、MCIのリスクが高いという結果になります。
MCIのうちに予防に取り組むことで、健常に戻る可能性があります。
リスクに気付いたら、予防することへ意識を向けていきましょう。

中年期の方で判定結果が悪い場合には、「現時点でMCIの可能性が高い」というわけではありません。認知症の最大のリスクは加齢のため、「現在の状態のまま予防の取り組みをせずにいると、将来MCIになるリスクがある」と捉え、生活習慣の改善に取り組むことをおすすめします。

MCIリスク判定

MCIリスク値

で示した「あなたのリスク値」上で、健常もしくはMCIと診断された方の割合がどのくらいであるかが分かります。グラフの緑色が健常と診断された方の割合、黄色がMCIと診断された方の割合を示しています。
グラフの右に行くほどMCIと診断された方の割合が大きくなり、リスクが高くなることを意味します。

判定結果

MCIスクリーニング検査はMCIのリスクを調べる血液検査です。
判定結果が良い場合は、MCIのリスクは低い状態です。今後加齢によってMCIのリスクが高まってきますが、現在の状態を維持できるよう、予防を意識しましょう。
判定が悪い場合、MCIのリスクが高い状態ですが、認知症のリスクがあるというわけではありません。
MCIは認知症ではないのです。

MCIの段階であれば、適切な予防により認知症への進行を防ぐことができるといわれています。検査の結果を受けて、早い段階から対策することで認知症を予防しましょう。

中年期における生活習慣病、特に糖尿病や高血圧は将来の認知症リスクを高めると言われています。中年期の方で判定が悪い場合は生活習慣を見直しましょう。

解説1

検査について

3つのタンパク質の量は加齢とともに減っていく傾向にあります。
MCIの方は健常の方よりも、これらのタンパク質の量が少ないことがわかっています。
予防に取り組むことでタンパク質の量の減少を食い止められます。これにより、認知症の原因であるアミロイドβを脳内から排出する機能を強化したり、アミロイドβによる悪影響を減らすことができると考えられています。

測定項目

ApoA1

ApoA1は頭の健康を保つ脂質を運んだり、脳内のアミロイドベータペプチドを排出するタンパク質で、いわゆる善玉コレステロール(HDL)の成分です。糖尿病を悪化させないような働きもあり、ApoA1の値が低い場合、糖尿病の可能性が考えられます。
ApoA1の量を改善するための取り組みとしては、栄養バランスのとれた適量の食事を実践し、生活習慣を見直すことが効果的です。

TTR

TTRは栄養状態が反映されます。ダイエットなど過度な食事制限をしている場合、値が低くなることがあります。
高齢の方の認知症予防にはタンパク質と脂質などの栄養を十分にとる必要があります。中年期では標準体重を維持し、生活習慣病(高血圧や糖尿病)の予防に努めることが効果的と考えられています。

C3

C3の値が低い場合、免疫力の低下が考えられます。
睡眠・運動など免疫に関わる規則的な生活習慣が大切です。趣味など楽しめることに取り組むことも効果的といわれています。

解説2

認知症によって起こるさまざまな症状を緩和したり、認知症の進行を遅らせるための薬はありますが、根本的な治療薬はまだ開発されていません。認知症を発症すると、治療が難しいのが現状です。
認知症において大切なのは発症後の治療ではなく、「発症前の予防」といわれています。

ここで紹介する予防に取り組み、習慣化していただけると、変化を感じるようになるでしょう。その効果を数値で確認するために定期的にMCIスクリーニング検査を受診してみてはいかがでしょうか。

再受診の目安はこちら

A判定B判定C判定D判定
1~2年に一度1年に一度半年~1年に一度半年に一度

検査結果で、「MCIのリスクが高い」(D判定)とされた方は専門医のいる病院で2次検査を受けることをおすすめします。
また、それ以外の方も生活習慣の改善を心掛けて、認知症の予防に取り組んでください。また、健康診断と同じように、定期的に検査を受けることでご自身の変化に早い段階で気づくことができます。