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認知症予防コラム

「アルツハイマー」研究の第一人者 新井平伊医師

2020年11月26日

監修者のご紹介

新井 平伊(あらい へいい)

アルツクリニック東京院長
公益財団法人認知症予防財団会長
順天堂大学医学部名誉教授

プロフィール
1953年茨城県生まれ。1978年順天堂大学医学部卒業。1984年同大大学院修了(医学博士)。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師を経て、1997年同大大学院教授に就任。1999年に日本で初めての「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設した。
順天堂大学大学院精神・行動科学教授、同大医学部附属順天堂医院メンタルクリニック科長、順天堂医院認知症疾患医療センターセンター長、日本老年精神医学会理事長などを歴任し、2019年からアルツクリニック東京院長。
2009年の『Journal of Alzheimer’s Disease(アルツハイマー病ジャーナル)』による、アルツハイマー病の論文数世界トップ100で38位に選出された。
著書に『認知症と共に輝く日々をめざして』(2014年・飛鳥新社)、監修に『認知症ケアのコツがわかる本』(2013年・学研プラス)、『家族と病院と地域で支える 家族のための認知症Q&A』(2017年・つちや書店)、『アルツハイマー病のことがわかる本(2020年・講談社)など。

順天堂大学教授時代には、認知症新規患者数1位にランキング

認知症、中でも「アルツハイマー型認知症」研究の第一人者として40年以上にわたり、研究と臨床の最前線に立ち続ける新井平伊医師。当初、外科医を志して進学した順天堂大学医学部で学ぶうち、数字やデータだけで語ることのできない奥深さに魅力を感じて精神科の道へ進むことになったそうです。
20年以上にわたって教授を務めた順天堂大学大学院時代はアルツハイマー病発症のメカニズムと予防・治療法などについて研究。同大医学部附属順天堂医院メンタルクリニックでは自ら診療にもあたってきました。同クリニックは予約なしで初診の患者を受け入れるなど、患者本位の診療に努めた結果、2015年の読売新聞「病院の実力 認知症」で、順天堂医院が認知症新規患者数第1位にランキングされる快挙も達成しました。
また、1999年には国内で初となる「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設し、働き盛りの40~50歳代でアルツハイマー型認知症になった人々に寄り添ってきました。

「認知症への偏見をなくしたい」と、映画やドラマの医学監修も手がける

認知症やアルツハイマー病に関する豊富な知識を買われて、認知症の人が登場する映画やドラマの医学監修を依頼されることも多いそう。そんな時、一番配慮するのは「病気に対する偏見を助長するような間違った描かれ方、極端な描かれ方をしていないか」をチェックすること。「アルツハイマー病は20年くらいの長い経過を持つ病気。発症から数年で死んだり、廃人のようになったりする描かれ方は納得できません」と言います。
そんな新井さんのおすすめ映画は、関口祐加監督のドキュメンタリー映画『毎日がアルツハイマー』、『毎日がアルツハイマー2 〜関口監督、イギリスへ行く編』と、森崎東監督による『ペコロスの母に会いに行く』だそう。もちろん、両作品とも新井さんが医学監修を務めました。
「患者さんの病状が正しく描かれ、また人間としての喜怒哀楽がしっかり描かれているところもいいですね」
今なお、クリニックの第一線で治療にあたる新井さんは「認知症への偏見をなくすこと、そして仮に認知症になっても人生がすべて終わりになるわけではないということを訴え続けたい。同時にアミロイドPET(陽電子放出断層撮影)を組み込んだ世界初の『健脳ドック』を駆使して発症20年前からの認知症予防を普及させたい」と考えています。