質の高い睡眠が認知症リスクを防ぐ
2020年09月28日
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睡眠リズムの改善は認知症予防に不可欠
良い睡眠は、脳の記憶を固定するために欠かせません。私たちの脳は眠っている間に記憶を整理し、必要な記憶を脳に定着させるように働いています。
脳の認知機能と深く関わる成長ホルモンは、深い眠りについている間に分泌されます。
また、アルツハイマー型認知症の原因物質とされているアミロイドβは、睡眠中に脳から排出され、1回の徹夜で7%も増加すると言われています。
眠りの質を高めて認知症を防ぐには、太陽と共に生活し、睡眠と覚醒のリズムを整えることが大切です。高齢者は体内時計が前倒しになりやすく、ゆとりのある生活も手伝って早寝早起きになりがちです。極端な早起きに悩む人は、目覚めてすぐに動き回って光を浴びるのを避けましょう。寝つきが悪い方は、眠くなるまで布団に入らない方が睡眠リズムが整いやすくなります。
また、体内時計は深部体温をコントロールしているため、体温が下がると眠気を感じるようになります。日中はなるべく活発に過ごして体温を上げることも、睡眠と覚醒の良いリズムを作るコツです。
年齢とともに睡眠時間が短く、早寝早起きになるのは普通のことです。活動に支障が出るような日中の眠気が無ければ、過度の心配は不要です。メリハリのある生活で、眠りの質を高めるように心がけていきましょう。
質の高い睡眠の5つのポイント
1. 寝酒や夜食の習慣を避ける
- お酒を飲むと、眠りが浅くなるため逆効果です。
- 夜は覚醒作用を持つカフェインを多く含む濃いお茶やコーヒーは避けましょう。
- 就寝直前の食事は、消化器に血液が集中して脳への血流が不足する※ので要注意です。
※脳への血流が不足すると、睡眠の機能(脳内に溜まった老廃物を効率的に排出する)が低下してしまいます。
2. 入浴はぬるめのお湯で寝る2~3時間前に
- 熱いお風呂は神経を興奮させ、寝つきを悪くします。
- 深部体温※は起きて約11時間後が最も高く、約15時間後に下がり始め眠気をもよおします。
※深部体温:体の内部の温度のことです。通常直腸や鼓膜の温度を測定します(約36.5~37.5度で上下します)。
3. 短時間の昼寝を習慣化
- 20~30分の昼寝が認知症予防に効果的です。
ただし、1時間以上の長い昼寝は認知症リスクを高めるので要注意です。 - 昼寝で脳をリフレッシュさせることで、記憶を司る神経細胞の生成や再生が促されます。
4. 睡眠環境を整える
- 暗くて静かな部屋で、温度で湿度も調整して寝つきやすい環境づくりを心がけます。
- 体内時計を狂わせるテレビ、パソコン、スマホなどのブルーライトは、夜9時以降はできるだけ避けましょう。
5. 太陽の光にあたる
- 朝目覚めた時に日光を浴びることで、体内時計がリセットされて、毎日の睡眠リズムも整います。
- 日中に太陽の光を浴びることで、入眠時に睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が盛んになり、睡眠に入りやすくなります。
引用:
- 株式会社MCBI発行 認知症予防マニュアル
(医療法人社団創知会メモリークリニックお茶の水理事長 朝田隆先生監修)